冊子印刷の原稿データを作る際は、予定している製本方法に合わせた「余白」の設定が重要です。
余白の設定を間違えると、とても読みにくい冊子になってしまいます。
本記事では、冊子印刷の余白設定に必要な知識を紹介します。
Wordを使った具体的な設定方法も解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。
【 目次 】
冊子印刷における余白の種類
冊子印刷の原稿データを作る際、読みやすさのポイントとなるのが余白です。
設定すべき余白は3種類あるため、それぞれについて知っておきましょう。
ノドの余白
冊子を開いたときの中央部分、綴じられている箇所を「ノド」と呼びます。
つまりノドの余白とは、綴じられた中央部分の周辺にある余白のことをいいます。
ノドにある程度の余白がない場合、製本方法によってはノド付近の文章や画像も一緒に綴じられてしまうため、隠れて読めなくなってしまう恐れがあります。
また、読めたとしても窮屈さを感じさせるため、読みやすさを追求するならばノドに一定の余白が必要です。
小口の余白
ノドとは反対に、冊子を開いて外側部分、ページの端のことを「小口」と呼びます。
つまり小口の余白とは、各ページの端にあたる一番外側にある余白のことです。
小口の余白も読みやすさにつながりますが、製本方法によっては断裁されてしまう部分のため、事前にしっかりと設定する必要があります。
天地の余白
3つ目に、天地の余白についてです。
天地の余白のうち「天」とは冊子の上部、「地」とは冊子の下部をそれぞれ指します。
つまり天地の余白とは、ページの上部と下部にある余白のことをいいます。
天については、冊子になる段階で文字や絵柄が欠けてしまうことはほとんどありません。
一方、地の部分はページ数が記載されている場合があり、余白が極端に少ないと文字切れを起こす恐れがあるため注意が必要です。
【製本方法別】冊子印刷における余白の推奨値
それでは、冊子印刷における余白の推奨値について解説していきましょう。
製本方法によって最低限必要な数値が異なるため、製本方法別に紹介していきます。
中綴じの余白推奨値
中綴じの余白推奨値は、以下のとおりです。
- ノドの余白:10mm程度
- 小口の余白:10mm以上
- 天地の余白:10mm以上
中綴じとは、中央部分をステッチ(ホッチキスの針)で綴じる製本方法です。
構造上ページが開きやすく、ノドの余白が少ない場合も、文字が読めないという状態はあまり見られません。
しかし、ノドの余白は読みやすさにも関わる要素のため、10mm程度が推奨値とされています。
無線綴じの余白推奨値
無線綴じの余白推奨値は、以下のとおりです。
- ノドの余白:15~25mm前後
- 小口の余白:10mm以上
- 天地の余白:10mm以上
無線綴じは、背表紙にあたる部分をのりで固めて綴じる製本方法です。
ページ数が多くなるほど冊子が開きにくくなり、ノド付近の文字やイラストも見えづらくなる構造になっています。
したがって、無線綴じにおけるノドの余白は、最低でも15mmほど確保する必要があります。
原稿の作成段階から、ノドの近くには文字やイラストを配置しないよう心掛けておきましょう。
なお、50ページを超える冊子であれば、15mm以上の余白が必要となり、100ページ以上の冊子であれば、25mm程度の余白があれば安心できる目安となります。
平綴じの余白推奨値
平綴じの余白推奨値は、以下のとおりです。
- ノドの余白:10mm程度
- 小口の余白:10mm以上
- 天地の余白:10mm以上
平綴じとは、重ねたページの外側から5mmほどの位置をステッチ(ホッチキスの針)で綴じる方法です。
無線綴じと同様、ページ数によって開きやすさが変化するため、ノドの余白については10mm程度が推奨値といえます。
余白が必要ないケース
余白が必要ないケースについても、解説していきます。
ページの端まで絵柄がある場合
ページの端まで絵柄がある場合は、断裁ズレによる白地の出現を防ぐため、3mm程度の塗り足しが必要です。
塗り足しを設定する場合は、小口の余白は必要ありません。
ノド付近に見開き用画像がある場合
ノド付近に見開き用画像がある場合も、余白は必要ありません。
余白を設定することで、かえって画像に不必要な空白ができて違和感を生じさせてしまいます。
Wordを使った余白設定方法
最後は、余白設定の具体的な手順についてです。
原稿作成に使われることの多いWordを例に、詳しい設定方法を解説していきます。
1.ページ設定から印刷の形式を変更
「レイアウト」タブにある余白を選択し、ページ設定の余白をクリックします。
ページ設定のダイアログボックスにある「印刷の形式」を「見開きページ」に変更してください。
2.内側、外側の余白を設定
印刷の形式を見開きページに設定すると、ダイアログボックスの上部に表示されている余白の項目が「左」「右」から「内側」「外側」へと変化します。
あとは、ページの内側にあたるノドと外側にあたる小口の余白を、それぞれ設定すれば完了です。
ただし、表示されているページが見開きページのどちらにあたるのか判別できないと、設定を間違ってしまう恐れがあります。
では、どのようにページの内側と外側を判別すればよいのでしょうか。
内側と外側の位置判別について
内側と外側の位置は、ページ数で判別できます。
Wordの場合、見開きにおける奇数ページが右側です。
例えば、3ページ目が表示されているときに設定を開始した場合、内側が左、外側が右と判断できます。
まとめ
冊子印刷におけるページの余白は、読みやすさに直結する大切な要素です。
製本方法によっては余白設定が正しくできていないと、断裁時に文字やイラストが欠けてしまう恐れもあります。
製本まで終えた冊子状態の仕上がりをイメージできれば、余白設定も含めて適切なレイアウトが実現できるでしょう。
プリントアースでは、中綴じや無線綴じなど、方法別での冊子印刷の依頼も受け付けております。
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