と(印刷DTP用語集)

透過原稿
ポジやネガ、OHPのように光を透過させることで像を得るタイプの原稿のことで、印刷用原稿の一種です。主としてポジカラーフィルムのことをいいます。原稿の背後から光を透過させて直接見るため、通常の紙のように反射光で見るタイプの原稿に比べ色の階調差が多く、濃度や彩度も豊かな像を得ることができます。スキャナーで透過原稿を読み取る場合は、フィルムスキャナーと呼ばれる特殊なスキャナーが用いられます。光を透過させる透過原稿に対して、反射光で見るタイプの原稿は、反射原稿と呼ばれます。
陶器印刷
陶器に絵付けする印刷方法。特殊転写紙を貼り付けて約800℃で焼成する「転写絵付け」のほかに、素焼きの陶器に直接印刷してエンボス調に仕上げる「撥水絵付け」、図柄を銅版でおこす「銅版絵付け」、温度によって図柄が消えたり現れたりする「感応絵付け」などさまざまな印刷手法があります。
同時プリント
カメラフィルムの現像と焼き付け(プリント)をセットで行います。元々は、現像してネガをつくり、ネガの中からプリントするものを選んでいたが、同時プリントではその手間がなりました。また現像代とプリント代それぞれ料金が設定されていましたが、プリント代0円などのサービスが出現し低価格化が進みました。
謄写印刷
「ガリ版印刷」のことで、孔版印刷の一種です。1893年、トーマスエジソンによって原型が作られ、日本の堀井新治郎により改良されました。簡便な方法の印刷であるため、発明されて以来日本では広く普及し、古い日本の文化ともいえます。学校のテスト用紙などは教師自身が謄写印刷機を用いて印刷していました。軽印刷分野において、経済性、簡易性などの利点があるため、小部数の印刷に適しています。
謄写版
孔版印刷の一種で、「ガリ版」ともいいます。ロウ紙と呼ばれる原紙をやすりの上に置き、先のとがった「鉄筆」でその原紙に傷をつけ、無数の孔を開けることにより版を作りました。修正する場合は、孔を埋める液を塗ります。原型を発明したのはエジソンで、それをもとに1894年、日本の堀井新治郎父子が改良し謄写版を完成させました。
胴刷り
枚葉印刷機での印刷中に、紙が供給されない状況で版またはブランケット胴が直接圧胴に当たり絵柄が転写されてしまうトラブルを「胴刷り」といいます。胴刷りが起こってしまうと、圧胴に転写されたインキがその後に供給された紙の裏面に転写されてしまい損紙となります。最近の印刷機はミスフィードを検知する機能を有し、自動的に胴刷りを回避する機能が取り入れられているため、トラブルは大幅に減少しています。
胴張り紙
凸版印刷機の圧盤、圧胴を覆う用紙のこと。印刷機のブランケット胴とブランケットの隙間にはめこむ「キャリブレーションシート」のことを指します。印刷の品質を一定に保つために、印刷機の加圧を調整する役割を果たします。
銅板
銅製の板で柔らかいため加工しやすく、さまざまな処理が可能で熱伝導性が高い。工業用のグラビア印刷では、銅製のローラーを版として活用しています。腐蝕、レーザー彫刻などによって製版された刷版を、インクに浸して凹部にインクを充填して、凸部に付着したインクを取り除いた後、版と紙を圧着して印刷されます。
銅版印刷
凹版印刷、エングレービング(Engraving)とも呼ばれ、世界で最も高級でフォーマルな印刷といわれています。銅版印刷は名前の通り銅版に彫刻します。これにより銅版の表面が凹版になり、そこにインクを流して印刷します。細い線の再現性が高く、インキの濃度も高くでき、色に深みがでます。紙幣や切手、パスポートの一部に銅版印刷が使われています。
当方紙
印刷会社が自社で購入して管理する紙のこと。対義語は「先方紙」で、出版社など発注者側が用意する紙のことを指します。
透明インキ
光を透過するカラーインキのこと。下地を被覆する力は弱いが、透過光で見る色彩は鮮明になります。OHP、カラーフィルター用印刷などで使われます。単色の印刷では紙が透けるような効果が現れ、混色印刷では刷る順番によって裏写りなどが見られ、仕上がりが異なってきます。
銅凹版法(どうおうはんほう)
銅版画手法で、1808年にアメリカのパーキンスによって開発されました。版面の凹部にインクを詰め、圧力をかけて印刷します。凹部をつくる方法は大別して2つあり、直接版を彫るエングレーヴィング、腐蝕させて間接的に版をつくるエッチングなどの技法があります。
トゥルータイプフォント
フォントの規格のひとつで、Apple社とMicrosoft社が共同で開発したアウトラインフォントのこと。
特色
Cシアン、Mマゼンタ、Yイエロー、K墨のプロセスカラー基本4色以外に、特別に調合された色のことをいいます。2色刷りの印刷や単色刷りでスミ以外で効果を出したい場合などで使用されます。DICカラーなどがよく用いられます。
塗工紙
印刷適性のアップを目的に、紙の表面に白色顔料や接着剤などを混合した塗料をコーティングした紙の総称です。塗工量によってアート紙、コート紙、軽量コート紙などと分かれます。
綴じ代
冊子の製本の際に、無線綴じや穴あけなどのために必要なノドの余白。データ作成の際は、ノドのマージンはやや広めに必要です。
凸版インキ
凸版印刷で使われる高粘度ペースト状のインキ。合成樹脂、乾性油、溶剤などを釜で加熱溶解してビヒクルをつくり、ビヒクルと顔料をミキサーでプレミキシングします。その後、3本ロールミルなどでビヒクルと顔料を均一に混ぜ合わせ、溶剤などを加えてインキのベースを整えます。それから色、粘度調整、品質チェックし、仕上げを行って生成します。
凸版印刷
凹凸のある版の凸部にインキを乗せ、圧力をかけて紙に転写します。ゴム印や木版画、活版印刷などがこれに当たります。現在行われている凸版印刷では、樹脂凸版印刷やフレキソ印刷が主流です。週刊誌のモノクロページ、シール、ラベル印刷、段ボールライナー、包装フィルムなどの印刷に使用されています。しかしながら凸版印刷は、DTPやオフセット印刷の普及によって大幅に減少しています。
ドットゲイン
印刷時に網点がつぶれて太くなる現象です。紙、インキ、網の線数の他、印刷時の機械や環境の状態などが要因として挙げられる。一般的に本機は校正機に比べて点が太くなりやすい傾向があります。より良い印刷再現を得るにはドットゲインをできるだけ小さくすることが大切で、印刷版を作る工程であらかじめ網点を小さく再現させておくことが通常行われています。オフセット印刷の場合、輪転印刷は枚葉印刷と比べて点が大きくなります。
トムソン
抜き型を作り、紙に穴をあけたり、さまざまな形に抜くこと。ビクとも呼ばれます。 ベースのベニヤ板や樹脂板にレーザーで溝を掘り、その溝に鋼の刃物を埋め込んだもので印刷物などを型抜きする方法もある。型抜きの刃と筋入れの刃を同時に入れることができ、1工程で型抜きと折るための折り目を入れられるのが特徴です。パッケージや紙の加工製品などの形を抜くのによく使用される。紙器や段ボールの打抜きに使う金型の刃物を「トムソン刃」といいます。打抜き機や打抜き加工のことをトムソンと呼ぶようになりました。
本の各ブロックの最初のページに単独でタイトルや見出しを印刷したもの。巻頭のものを本扉といい、章などの区切りに挿入されるタイトルなどが入るページを中扉といいます。
共紙(ともがみ)
書籍・雑誌などで、冊子の表紙や扉・中扉・口絵などを本文と同じ用紙で印刷すること。
ドラムスキャナ
ドラム(シリンダー)と呼ばれる透明の円筒状部品に、原稿を巻き付けて読み取るスキャナのことをいいます。ドラム部分が高速回転(1000回転~1800回転/分)し、撮影機器(フォトマルチプライヤ)がドラムのそばを移動しながら原稿を取り込む。反射原稿(写真や絵など)・透過原稿(ポジ・ネガ)のどちらからも画像として取り込むことが可能です。フラットベッドタイプのスキャナと読み取り方式などが異なり、一度に1画素のみを読み取る構造となっている。速度は遅いが、撮像素子の解像度による制約がないため、一般的に数千~1万dpiの高解像度で読み取れます。凹凸がある原稿や、曲げることができない原稿は適さず、原稿の厚さは郵政はがき(官製はがき・日本郵便発行の通常はがき)程度が限度となります。
トランスファ関数
データの値を変えずに、出力時にデータの値を変更させる機能。編集時には通常の状態のままで、出力時には明るさを反転した状態で出力することなどが可能になります。昨今ではWYSIWYG(What You See Is What You Get)が主流のため、トランスファ関数を与えるのではなく、Photoshopなどのトーンカーブなどを操作して、あらかじめ画像を変化させておく方法が一般的です。
トリミング
写真原稿の画面の必要な部分だけを抜き出し、周囲を切り捨てること。印刷に不要な背景がある場合に使用します。指定では原稿にトレーシングペーパーをかけ、周囲のトリミングを決め絵柄のアタリ線も描き込みます。今ではPhotoshopやIllustratorで主にパスの機能を利用して切り抜く範囲を指定し、人物や動物の毛の部分・自転車のスポーク・籠・花・電線などの切り抜きをするのが一般的です。
トルママ(トルアキ)
文字を削除して、削除した文字の場所をそのまま空けておく校正指示。削除した所を詰める場合は「トルツメ」と指定します。単に「トル」とあるときは、一般的に「トルツメ」と同じ意味で使います。
ドロップシャドウ
DTPソフトで、オブジェクトに影を付ける機能で、影の色はオブジェクトの色に応じたカラーや濃さを選べます。グレースケールデータのときは、カラーはK100%で影を作成します。
トンボ(トリムマーク)
印刷時の見当を合わすとき、断裁時の切る所や折加工時の折る場所の目安に使われるマークのこと。 版下・製版・印刷の工程で重要なマークであり、レジスターマークともいいます。一般に十字マークを細線で付ける。その形がトンボに似ていることから「トンボ」と呼ばれています。製本工程に必要な目印として、折りの基準を示す「折りトンボ・オリトン」、断裁の位置基準の「コーナートンボ(裁ちトンボ・角トンボ)」などがあります。コーナートンボは、仕上がりの四隅に付いているトンボで、内トンボと外トンボで構成し、その間隔は通常3mmとなっています。内トンボは仕上がりサイズを指し、内トンボから外トンボの間は裁ち落としのための塗り足し部分となります。
トーンジャンプ
画像描写でハイライト部からシャドー部までのなだらかな階調再現力がなくなり、部分的に境界ができて、不自然なしま模様や帯のようなものが見えてしまう状態のこと。とくに空や人間の肌といった微妙なグラデーション部分で目立つ現象です。スキャナーに問題のある場合や、撮影画像に過度な加工補正を加えた場合などに起りやすく、ヒストグラムを確認すると、櫛の歯のように階調が抜けていることがわかります。

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